システム概要

1964年の東京五輪を機に「大量輸送時代」が幕を開けた高度成長期。
旅客が急増し、これまでの手作業によるチケット販売では、もはや、さばき切れない―
そんな時代の要請に対する“解答”が、国内初のオンライン・リアルタイム・システム[MARS (Magnetic-electronic Automatic Reservation System)]でした。

以後、MARSは、わが国のシステム開発史を牽引してきました。機械計算からプログラム演算へ、高速大量処理、多機能化、さらにはメインフレームから分散化へ、と。つねに時代の先端を開き、かつ次代のコンピューティング技術を押し拓いてきたのです。

そして今日、私たちが目指すのは社会インフラとしての強靭性、および利便性。
「より安全に」「もっと使いやすく」という根源的テーマを追い続けます。

MARSの進化

もてなす(hospitality)

急増する海外からのお客さまに「利便性」を

2020年の東京オリンピック開催へ向け、増加の一途をたどる外国人観光客。津々浦々を自由にめぐり、日本文化に親しむツーリストを持てるシステムの力で「もてなす」のも、MARSに課された使命のひとつ。
より使いやすく、さらに便利なシステムへと進化します。

ひろがる(magnify)

新幹線のルート拡張とともに進化

現在進行形で拡がり続ける、新幹線網。この複雑なルートを効率よく結び、スマートな乗継ぎを約束する、一枚のチケット。チケット一つひとつに込めた、それは旅人たちへ向けたソリューション、MARSの日進月歩が導く、アクセスの“最適解”です。

つながる(utility)

JR各社の「チケット販売」を多面サポート

「みどりの窓口」の基幹システムを一手に担う私たちは、時々変化・多様化する利用ニーズに即応。窓口から直接、あるいはインターネット経由で、いつでも照会・予約できるようJR各社や旅行会社とのシステム連携を、刻々と強めています。

ささえる(security)

地震国ニッポンで「盤石の安心」を支える

幾度もの災害によって得られた貴重な教訓から、また日夜ビッグデータを預かり、制御することへの責任感とプライドから、「真のセキュリティとは何か?」を、今日も自らへと問い続ける――その姿勢はMARSが半世紀を経た今も、変わりません。

マルスの歴史と変遷

MARSは半世紀にわたって進化し続けてきました。

誕生以来、半世紀を迎えたMARS。
以来、MARSはオンライン・リアルタイム・システムの代名詞となり、わが国のシステム開発史を牽引してきました。

1960 MARS1MARS 1 従来の電話と台帳の手作業による予約販売業務をコンピュータ化するための試作機を開発。東海道本線特急こだま号4箇列車、2,320座席の発売を開始した。
1964 MARS101MARS 101 プログラムを内蔵した本格的な実用機である第1号機が誕生。
予約だけでなくシステムによる自動発券が可能になったのも、この101から。
1965 MARS102MARS 102 ダイヤ改正による優等列車の増発等や「みどりの窓口」開設に合わせ、101の機能を統合した新システムを投入。前年に開通した新幹線も、同システムを利用しはじめた。
1968 MARS103MARS 103 中央処理装置を初めて専用機から汎用機に転換。システム規模の拡大、中央処理装置の運用方法に改良が加えられた。なお当時は、101、102も並用。
これまで電話・電報で受付処理していた「グループ旅行」や「団体旅行」の予約増加に伴い改編。大人数・長期間の旅程を管理し、キャンセルや変更にも柔軟に対応できる態勢に。端末装置は汎用タイプライター型で、当初全国に80台を設置、旅客へのサービス向上に寄与した。
1972 MARS105MARS 105 新幹線の博多延長、および東北・上越新幹線の開業を控え、当座70万座席、将来140万座席の収容を目的に開発。大きな特長として、予約期間の延伸(最大2か月)、乗車券の同時発売、代案提示等、旅客サービス機能の強化、窓口ごとの売上集計機能等、業務省力化面へも大きく貢献。さらに1975年には、電話予約に対応する150、および団体・企画商品に対応する202を導入した。
1985 MARS301MARS 301 105、150、202の老朽化に伴う刷新と、多種多様な営業施策への柔軟な対応を目的として開発。システムはCCS(通信制御サブシステム)、SRS(在庫管理サブシステム)、DMS(データ管理サブシステム)から構成され、指定券・普通乗車券・定期券から、回数券・Qきっぷ・ワイド周遊券等の特殊乗車券や団体・企画商品等までをトータルに扱う「旅客販売総合システム」へ。
1993 MARS305MARS 305 JR旅客会社各社の営業施策へのより柔軟な対応と、増加するトラフィックへの充分な処理性能を確保するために開発。ハードウェアは最新鋭の超大型汎用コンピュータ2台に、それぞれCCS、SRS、DMSのサブシステムを格納。また、きめ細かなシステムの監視、異常時のシステム切替えが可能になるよう統合運転を実現し、全サブシステムのホットスタンバイを可能とした。
2004 MARS 501MARS 501 多様化を極める新時代の旅客ニーズ、さらには情報通信ニーズを視野に入れ、既存システムの大幅な見直しを敢行。またJR各社のICカード乗車券/定期券への対応、“自販機型”のMV端末などの普及により、MARS 501の稼働フィールドは飛躍的に広がった。
現在 MARS 501MARS 501 2013年には震度7の横揺れにも耐えうる免震構造と、日本データセンター協会の格付けによる最高度信頼性(ティア4レベル)を確保したセキュリティ設備を備えたシステムセンターにMARS 501を移転。大規模地震等の発生時においてもMARSのシステムサービスを継続的に提供できるようになり、安全性・信頼性を一層強固なものとした。

システム稼働率99.999%を維持しながら、毎年実施されるダイヤ改正対応、新線・新駅開業等の制度改正対応をはじめ、JR各社のインターネット販売、チケットレス乗車等の施策に対応するための機能増強を行っている。更には、インバウンド需要拡大への対応および、JR各社の駅業務効率化を実現するため、MV端末から遠隔地にいるオペレータと接続し窓口サービスを可能としたアシストマルス端末機能や、ビッグデータ(過去の販売実績)を活用し、JRの指定席販売計画を支える情報提供機能等を充実させている。 目まぐるしく変化・多様化するIT環境や利用者ニーズに対し、より細やかに、より迅速に対応できるよう、MARSは増々進化を続けている。

利用形態

JR「みどりの窓口」や大手旅行会社から

MARSは、JRの「みどりの窓口」の端末の他、大手旅行会社等のホストコンピュータとオンラインでつながり、JRの列車予約のみならず、宿泊券・レンタカー券・イベント券など多種多様な商品を販売しています。

駅の券売機コーナーから

旅客自らがオン・デマンドにMARSへアクセスすることもできます。そのひとつが顧客操作型端末(MV端末)による購入方法。駅の券売機コーナーに設置されたMV端末をお客さまが自ら操作することにより、窓口で並ぶことなくチケットを購入することが可能です。

家庭やオフィスのパソコンから

電話から指定席の予約やパソコンから空席照会が可能です。また、当社が提供するインターネット通信サービス「CYBER STATION」を利用すれば、家庭やオフィスのパソコンから、居ながらにして空席照会・座席予約を行うことができます。

システム構成

集約サーバによる機能性と経済性

予約・発券業務の要となる「列車在庫管理」を中心に、「端末管理」「運賃料金計算」「列車案内」といった論理機能をサーバ上に集約、および端末制御用のFEPや関連サブシステム等から構成されています。 ハードウェアの“集約”によってダウンサイジングをはかり、かつソフトウェア構造の改良を促進させることで、柔軟性を高めつつコストダウンを実現しました。

多様な販売ネットワーク

駅窓口に設置されたマルス端末に加えて、JR各社の旅行業システム、大手旅行会社システム、クレジットシステム等多くのホストコンピュータとの結合により、多様な販売ネットワークを実現しています。
さらに、JR各社をまたがるきっぷの販売収入をエリア(各社)ごとに正確に配分する[収入清算システム]も、MARSに蓄積されたデータによって運用されています。

「マルス端末」も進化します

マルス端末には[みどりの窓口]で駅係員さまが操作するMR形端末、お客さまが操作するMV形端末、空席案内表示のMD形端末があり、JR各社の販売業務に貢献しています。これらのマルス端末は、外国のお客さまでも使えるように外国語表示にも対応するなど、お客さまと駅係員さまの「使いやすさ」「見やすさ」「わかりやすさ」を追求しながら進化を続けています。

信頼性

建物全体の「高セキュア化」

MARS 501が設置されたシステムセンターは、24時間有人監視、ICカード・生体認証による入退室管理を徹底。また、建物全体が震度7の横揺れにも耐えうる免震構造となっており、日本データセンター協会の格付けによる最高度信頼性(ティア4レベル)を確保しています。(写真は免震装置)

運用管理の「フルタイム化」

システムセンターの運用管理業務は24時間体制。自動化によって業務の効率性と信頼性の向上をはかり、バックアップ機器への切替え、故障した機器の切離しなど、システムに異常が発生した場合でも迅速に対応できる体制を整えています。(写真は運用室)
また、端末装置や通信回線の障害時にも、原因究明と回復が速やかに図れるよう、指令員がバックアップしています。

全ての機器を「冗長化」

システム装置
万一の障害に備え、各サブシステムはその業務内容に応じてホットスタンバイ/コールドスタンバイ/ロードシェア方式による高信頼度構成を採用。またネットワーク装置やディスク装置等周辺機器も二重化されています。
電源装置
変電所2系統からの受電、停電時に備えてのバッテリーバックアップ、ディーゼル発電装置等、万全の電源対策を実施。さらに無停電電源装置(UPS)や電力供給ケーブルにも予備系を設置するなど、安定稼働を陰から支えます。
ネットワーク
[JR-NET]を中心とする高信頼性ネットワークを構築。基幹回線はすべて多ルート化されているほか、主要通信機器も二重化し、断線や機器障害の際にも停止することなくサービスを提供します。

システム規模

全国9,500台の端末に対応
1日平均発券枚数 190万枚以上
ピーク時毎秒 250コール、平均6秒で発券

マルスの取扱量は年々増加しています。
1日平均の発券枚数は190万枚以上。コール数や端末台数も増加の一途をたどり、約6,500台の駅端末・みどりの窓口端末、および約3,000台の旅行会社端末等が接続されています。
MARS 501は、これら9,500台を超える端末からの一斉要求にも応えられる性能を持っており、旅行シーズンなどのピーク時にも毎秒250コール、平均6秒での応答(発券╱枚)が可能です。また、今後ともますます多様化・高度化する旅行商品ニーズにも対応可能な、拡張性と柔軟性を備えています。